君がいないと落ち着かない
遊びましょ
忍がこれまでの人生で交際を求められたのは中学時代に3回あったが、忍がこの3人に良い返事を返してない。
好き、嫌い、付き合う、別れる
人間関係に重みを感じている忍には男子と付き合うなど考えられなかった。
恋愛小説や漫画、ドラマや映画を見た後には恋という感情を羨ましく思ったり、悲しみや辛いことがあったりしたときは家族や友達ではなく、最愛の相手に打ち明けることを夢見たこともある。
でも、想いを寄せられてると思ったら全く違う人だったり、忍が嫌いな人ほど馴々しく話掛けて来たり、関わることが増えたりする。結局、空回りばかりで面倒くさくなった。
「えっ!?」
今までのことを思い返していた忍の上から言葉が降り掛かってきた。
頭を上げて彼の顔を見ると、苦笑いの表情を浮かべていた。
整った眉は下がり、切れ長の目には弱さが見え隠れしている。
「本気です」
呟ように言った後、彼は俯いて堅く堪えるように唇を結んでしまった。