オフィスラヴ－鬼上司の対処方法ー

ACT1♥使えない女性社員

巴sideー

「勇生(ﾕｲ）って可愛い名前ですね…」


私の一言で賑やかだった歓迎会の席はだんまりムードになってしまった。



「私…何か…悪いコト言いました？」



私は周囲の女性社員たちに問いかける。



「いや…本当に綾部君は冗談が上手いね…」


田口課長が目配せで私に必死に何かを訴えた。



「私は冗談ではなく本気です…」



「綾部君…わしの言いたいコトをちっとも理解していない」



「綾部巴(ｱﾔﾍﾞﾄﾓｴ）と言ったな…よーく…名前を憶えておいてやる…」


少し切れ長の漆黒の瞳が、私を研ぎ澄ましたようなナイフの鋭い刃で見つめる。


今夜は本日付で赴任したばかりの有栖川勇生(ｱﾘｽｶﾞﾜﾕｲ）部長の歓迎会。



「よろしくお願いします…有栖川部長」
私は、そんな鋭い有栖川部長の瞳には動じず笑顔で返した。



私にとって…有栖川部長が鬼上司となった瞬間だったーーー・・・