オフィスラヴ-鬼上司の対処方法ー
私は自室を出て、リビングへと足を運んだ。
勇生さんはリビングのソファに深々と腰を下ろして、バスローブ姿でスマホのアプリゲームをしていた。

「お義兄ちゃん」

「なんだ?」

勇生さんはスマホから顔を上げて、私の方に顔を向けた。


「あのね・・・」

私は勇生さんには言いづらく、語尾を濁してしまった。


「・・・私、週末・・・悠真さんの部屋に泊まりに行くから・・・」

私は意を決して勇生さんに告げた。


「・・・悠真のヤツ…何を考えてんだ?あれほど、他の女のように巴を扱うなと言ったのに・・・」

「・・・ともかく、私・・・悠真さんの部屋に泊まるから…ちゃんとお義兄ちゃんには伝えたからね・・・」

踵を返そうとした私の左手を勇生さんは掴んだ。


「お前はドジで馬鹿で天然だ・・・男の部屋に泊まる意味わかって言ってるのか?」

ドジで馬鹿で天然って・・・

そりゃ、勇生さんの言う通りかもしれないけど。

意味、分かっていない程、子供じゃない。

「ちゃんと、わかっていますよ。
私は天下のエロ作家の八神先生の娘ですよ」


「・・・分かって言ってるなら、なんで、付き合って1週間でお泊りに行くんだ?」

「それは・・・」

「お前、もっと自分を大切にしろっ!!」

これでは、勇生さんは私の父親のよう。彼は私のコトを女として見ていない。
私は香奈枝さんのように色気ないもんね。
あるのは食い気だけ。



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