オフィスラヴ-鬼上司の対処方法ー
綾部を偽カノに選んだのはいいが…


妙に頬を染めて口許を緩める綾部の顔が気になった。



誤解されているような気がしたーーー・・・



まぁ、待ち合わせの場所のアマンド前で説明すればいいか…


戦後まもなく創業し六本木に店を構える洋菓子店『アマンド』


硝子越しに見えるショーケースの中のケーキはどれも美味そうで甘い匂いを漂わせる。


「遅い…ドタキャンか?」
待ち合わせの時間になっても姿を現さない綾部に神経が苛立つ。

綾部を誘ったのはいいが…アイツの携番もメルアドも知らない。

こんな時の場合を考えて訊いておけばよかった。




「お待たせしました…」



綾部が息を切らせながら俺の前に走り寄って来た。



「綾部お前…」






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