オフィスラヴ-鬼上司の対処方法ー
「・・・」


有栖川親子は私達に気を遣い退散した。


私と瀬川さんは二人っきりとなって、中庭の日本庭園を散策する。



「庭園だけを見ていると都心のど真ん中だと言うコトを忘れる」


「私もそう思います」


私は積極的に瀬川さんと会話を交わした。沈黙した雰囲気になると、高鳴ったバクバクした心臓の鼓動が瀬川さんに聞えそうで恥ずかしかった。



「瀬川…ここで何をしているの?」


「紗耶香(サヤカ)お嬢様。お嬢様の方こそ、ここで何をしていらっしゃるんですか?」



私達の前に忽然と現れたツヤのある長い黒髪の女性。年は20代前半。


切れ長の大きな黒い瞳に鼻筋も通った美人で細身のスタイル。光沢のあるピンクのフレアスカートにふんわり素材の白いブラウスのお嬢様ファッション。



「瀬川さん…この方は?」


「一子会長の妹・布津子(フツコ)様の娘・高坂紗耶香様です」



「一子会長の姪ですか・・・」



「瀬川、私と言うが恋人がいながらどうして見合いをするの?」



「紗耶香お嬢様…誤解を招くような言動は止めてください」


「瀬川…」


紗耶香お嬢様は瀬川さんに叱られてしゅんとなり、押し黙ってしまった。

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