オフィスラヴ－鬼上司の対処方法ー

「全く…」


瀬川さんは後ろ髪を掻きながら、ため息を漏らす。


突然、頬にキスをされた私。


全身の血液が勢いよく駆け巡り始めた。心臓に爆発寸前まで騒がしく早鐘を打つ。



「俺ゴトで申し訳有りません…」


「え、あ…いいえ…私の方こそ…すいません」



有栖川部長のコトのあったし、お互い様だと思って私も謝った。



「…紗耶香お嬢様と瀬川は顔見知りのようですね・・・」



「紗耶香お嬢様のご両親は仕事の都合で海外赴任が多くて、神楽坂家でお預かりする機会が多かったのです。使用人の息子である俺が執事としてお嬢様の身の回りの世話していました」



「瀬川さんが執事ですか・・・」



私の頭の中には燕尾服に身を包んだ執事の瀬川さんが浮かんだ。

執事とお嬢様の関係だけど、紗耶香お嬢様は瀬川さんのコトを執事だと見ていないと思った。

瀬川さんは男性としてとても魅力的な人。そんな人と四六時中一緒に居れば…惹かれないはずはない。