オフィスラヴ-鬼上司の対処方法ー
部長は私のナビなしに、ラブホテル『ブリリアンブルー』に到着した。

「部長、ここをご存知だったんですね・・・」

「会員カードあるからな」

「会員カード?」

「こっちの話だ。いいから、さっさと降りるぞ」

「はい」

車を駐車場に停めて、ホテルの無人のエントランスを潜った。


「何処の部屋だ?」

「確か…今日は505号室だと思います」

「あんな立派な部屋があるのに…なんで、仕事場がラブホの一室なんだ?」

「気分が盛り上がらないと執筆も捗らないらしいです」

「ふうん」

私達はお母さんが滞在している505号室を目指して、エレベーターに乗った。

狭いエレベーター内で部長と二人。

胸の内側の心臓が否応なしに騒がしく鳴り響く。


「ドキドキしますね」

「どうしてドキドキするんだ?」

「いつもは私一人来ますから…」

「お前ラブホに入ったのは初めてじゃないのか?」

「はい、お母さんに必要な物や着替えを届けるのは私の役目でしたから・・・」

「そうか…一人でラブホに入るなんて虚しいだろ?」

「これからは一人じゃありません。だって部長が同行してくれますから・・・」

「次は無い。一人で行けっ」

「そう冷たいコト言わないで下さい…部長」



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