ミカンとおれんじ ~High School~
~柑菜side~


綾場さんは話し終えると、ハハッと乾いた声で笑った。


「それで、『綾場菜々緒は教師をボコボコにするような不良だ』って噂が立って......それで、学校し行くのが嫌になったんだよね。不良って言われるなら、ホントになってやるって思って、金髪に染めて......」


ギュッと金髪を握る。


その手はかすかに震えていた。


「......ホント、何やってんだろ。あんなに好きだったピアノを我慢して勉強してたのに......全て無駄になった」


――――ポタッ


涙で、綾場さんの着ているジャージに、小さなシミが出来る。


何だか、前のあたしみたい......。


母に嫌われてくないと、ギターを我慢していた自分の姿が蘇る。
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