ミカンとおれんじ ~High School~
「あ、......夏見さん?」


その声に振り向くと、萩尾くんが驚いたように少し目を開いて立っていた。


「あ、萩尾くん。萩尾くんて、何か委員会に入ってたっけ?」


あたしがそう尋ねると、萩尾くんは首を振った。


「先生に雑用頼まれてたんだ」


と言うと、バッグからごそごそと飴を2つ取り出し、1つを差し出した。


「『ご褒美だ』って飴を2個もらったんだけど、1個いる?」


その飴は、あたしの好きな蜜柑味だった。


嬉しくなって、ありがとう、とそれを受け取った。
< 37 / 128 >

この作品をシェア

pagetop