ミカンとおれんじ ~High School~
山田達の後ろで、後ろめたそうに明後日の方向を向いている佐藤が見えた。



――――なんだ。

つまり、佐藤は俺を生け贄にしたんだな。



もう、それからは抵抗する気もなくなって、ボコボコにされたままその日は家に帰った。


それからは、学校にいても山田や佐藤達と話す事はなくなった。


近くで聞こえてくる、山田達の俺への悪口。



――――もういいよ。

どうでもいい。

こんなちっぽけな世界、いらない。



だから高校は、あいつらを見返そうと、県下トップの進学校を受験した。


幸い成績は良かったから、合格できた。


そして、決めた。


笑顔なんか見せない。


人と必要以上に関わらない。




どうせ、傷つくくらいなら――――。



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