ミカンとおれんじ ~High School~
――――話し終えると、夏見さんは戸惑っている様な顔をした。


そりゃそうだよな。


急に、こんな話聞いたんだから。


「ごめん、こんな話して」


「ううん......」


夏見さんはそっとうつむく。


「――――あの日から、俺には、『嬉しい』とか、『楽しい』とか、そういう心が、無くなったかもしれないな......」


俺がそう呟くと、夏見さんが間髪いれず叫んだ。


「そんな事ない!!」


へ?


「だって、初めてあたしが萩尾くんの歌に感動した時、萩尾くん、嬉しそうに笑ってたもん......!!」


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