ミカンとおれんじ ~High School~
「ううん、あたしに、ギターを教えてくれる人はいたの。......1人だけ」


そう答えると、笑って『その人』の名を言った。


「夏見寛三(ナツミ カンゾウ)。......あたしの、おじいちゃん」


そう言うと、萩尾くんは謎が解けたという様に頷いた。


その顔を横眼で見ながら、静かに言った。


「......もう、いなくなっちゃったけどね」


と。


その言葉に、萩尾くんはひどく驚いたようだった。


そりゃそうだよね。


「......ごめん」


「ううん、別にいいよ」


頭を下げてきたので、慌てて首を振る。



そして、おじいちゃんについて話し始めた――――。


< 54 / 128 >

この作品をシェア

pagetop