ミカンとおれんじ ~High School~
あたしにギターを教えてくれたのは、あたしの母方のおじいちゃんだった。


初めてギターを弾いたのは、7歳の時。


バンドをやってたおじいちゃんがウチにやって来て、教えてくれたんだ。


『ギターは良いでぇ。弾く度に、心が洗われるわぁ』


これが、おじいちゃんの口癖だった。


最初は下手でへこんだりもしたけど、上達する度に達成感がすごかった。


そして、その年のクリスマスには、おじいちゃんからギターを買ってもらった。


初めて自分のギターを見た日、嬉しくて、その日は一緒に抱いて寝たんだ。


お母さんはその事を良く思ってなかったけれど、おじいちゃんの前では、何も言わなかった。


あの頃は、まだ、幸せだったんだ。
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