ミカンとおれんじ ~High School~
――――全て話し終えると、私は無理矢理笑って言った。


「でも、良いんだ。あたしも、一生懸命勉強して良い進路に進む事は正しい事だと思うし」


そう言うと、萩尾くんは歩く足を止めた。


「......萩尾くん?」


「『良い進路に』って......母親に押し付けられた事を守るのが、ホントに自分の意志なのかよ?」


......え?


「......何、ソレ」


『ホントに自分の意志なのかよ?』


......そんな事、考えた事なかった。


ずっと、お母さんの言うとおりに生きてきたから。


『良い高校に』


だから、県下トップの進学校に頑張って入って。


『良い大学に』


だから、将来、慶応大などの大学に入れるよう、努力してる。
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