聖なる夜に永遠の約束を【クリスマス企画】
忘れられない想い

時間が戻せたなら、俺は真っ先に4年前のクリスマスに戻す。

そして、必ず迎えに行くんだ。今度こそは必ず、実花を一人にはしない。

4年前に戻りたい。あの日に戻りたい。実花に会いたい。

なあ、実花。どうすれば、もう一度お前に会える?

なんて、分かっているんだ。どんなに願ったって、それが叶わない事くらい。

だけど、会いたいんだよ。だって実花、寂しいだろ?

俺は寂しいよ…。

――――
「…ゅう!柊ってば、聞いてる?」

「えっ?あ、ああ。ごめん。ボーッとしてた」

ヤバイ、ヤバイ。紗雪と一緒だというのに、また実花を思い出していた。

それもこれも、明日がクリスマスだからだ。

街を歩けばイルミネーションの嵐。そして、店から流れ聞こえてくるクリスマスソング。

そのどれもが、4年前を思い出させるのだった。

あの日、俺は付き合って2年になる同じ歳の実花と、当たり前の様にクリスマスを過ごす約束をしていた。

だけど、初めてのクリスマスより新鮮さを失っていた俺は、前の年には実花の家まで迎えに行ったのに、街で直接待ち合わせをする事にしたのだった。

その時の俺は、思ってしまっていた。反対方向の実花の家まで、迎えに行くのは面倒だと。

だけど、それは完全に間違っていたのだった。

実花は俺との約束の場所へ向かう途中、事故に遭った。

信号無視の車にはねられたのだ。

その連絡を貰ったのは、事故が起きてから5時間も経ってからだった。

待ち合わせ場所に現れない実花が心配になった俺は、手当たり次第に探し回っていたけれど、その頃にはもう実花は病院に運ばれていたのだ。

そして俺がようやく実花に会えた時には、すでに息は止まっていて、二度と目覚める事はなかったのだった。

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