聖なる夜に永遠の約束を【クリスマス企画】
実花との再会
「柊!起きなさいってば!」
ん…?この声は…?
「実花!?」
とっさに起き上がった俺は、周りが闇の様に暗い事に気付いた。
「な、何だここ?」
「私のいる世界への入口よ」
ひょうひょうと話すのは、紛れもなく実花だ。
大きな目の可愛い顔は、俺が知っている実花だった。
「実花、会いたかったよ」
俺は、ここがどこだか理解する事など、どうでも良くて、とにかく目の前に実花がいる事に感動した。
だから、抱きしめようと実花の元へ走ったけれど、両手を腰に当て仁王立ちする実花には、近付けなかったのだ。
「ちょっと柊、今何をしようとした?」
なぜか実花は、頬を膨らませ怒っている。
「何って、抱きしめようと思って」
「抱きしめる!?相手を間違えてるんじゃない?柊が抱きしめなきゃいけない人は、紗雪ちゃんでしょ?」
「実花、紗雪を知ってるのか!?」
驚く俺に、実花は得意げな顔をしている。
「当たり前でしょ?私は空からずっと、柊を見ていたんだから」
“空から”、そう言われて俺は、最も大事な事を思い出したのだった。
「実花、やっぱりもうこの世にいないんだよな?」
「そうよ。だから、柊には私の分まで生きて幸せになって欲しいのに、ずーっと引きずってるんだもん。見てて心配になってきちゃった」
平然と話す実花は、生きている頃と変わらない。
その天真爛漫さが、こんな時にも出ていた。
だけど、俺はその言葉を素直には聞けなかったのだった。
「引きずってて悪いかよ!俺は、実花にずっと会いたかったんだ。実花が本当に好きだから、寂しくてたまらなかったよ」