ドレミで愛を奏でよう

~道也~

むかつくむかつく、あの女。


俺は潤たちが待つ部屋へ帰る途中、一人苛立っていた。


『口が悪くて』


『作り物で』


『性格もわるー…』


あー!うぜー!


…最初びっくりした。


眼鏡と髪をほどいた音色は別人みたいに…


可愛かった。


歌も透き通るような声で、きれいで…


それなのにあいつは『黙ってて』って言った。


あれ?


てか『黙っててやるからゆうこと聞け』って変じゃね?


実質音色に自信がついて、みんなに言ってもいいですよってなったら、不利なのは俺なんじゃぁ…。


で。


俺はそのあとなんてった?

『俺の彼女の振りをしろ』

うん。そういった。


言ったよな。俺。


まあいいや。


これでうざい女たちから逃れられる。


面倒事はあいつにまかせとこう。


俺は心の中で納得し、ぎゃあぎゃあ騒がしい部屋の中に戻って行った。
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