ドレミで愛を奏でよう
ふと視線を移す。


と。


先にいたのは、あだ名が“地味メガネ”の女。


分厚い眼鏡に、きっちり編み込まれている三つ編み。

俺の周りにはいないタイプの女だ。


たしかー…


なんだっけ。


あっ、思い出した。


神埼音色だ。


…は、机に肩肘をついて窓の外を見ていた。


「“地味メガネ”どうする?誘う??」


「えー?しらけそうじゃん」


「てか今時眼鏡におさげとかww」


そういってきゃははと笑っている女たち。


おいおい。聞こえてるだろ。絶対。


「ねぇ、道也行こぉ♪」


ぎゅっと俺の腕に自分の腕を絡める女。


相澤美咲(あいざわみさき)。


肩より少し長めの髪をこれでもかってほどくるくるに巻いて、吐きそうになるほどきっつい香水をつけてる女。


女子の中の、中心人物。


こいつとなんかあったら面倒そうだな…。


俺はにこっといつもの笑顔を見せ、教室から出た。 
< 7 / 80 >

この作品をシェア

pagetop