ドレミで愛を奏でよう
はぁ~。


疲れた。


ざわざわと賑わっているカラオケ店の中。


俺は、大声で熱唱している美咲たちに“電話してくる”と言って部屋から出てきた。


こういう場所ってただでさえ嫌いなのに、べたべたべたべたとくっついてくる女たち。


うぜぇー…。


「道也!」


ふいに後ろから呼び止められた。


「潤。」


振り返った先にいたのは、同じクラスの松岡潤(まつおかじゅん)。


小学校の頃からの仲で、俺の仮面の中を知っている唯一の親友。


潤は、学校二…俺の次にかっこいいと言われている男。


茶色に染められた髪は、高校に入学したとき、俺とおそろい♪とかいって一緒に染めたもの。


でも特に嫌って訳じゃなかった。


俺の好みと潤の好みって似てるんだ。


昔から。


「疲れたんだろ。道也」


さすが。


言わなくても分かるか。


「ああ。ちょっとな」


俺は小さくそう答えふとあることに気づく。


「どうかしたのか?」


潤はなんか用があってここに来たんだろう。


トイレにしても飲み物コーナーにしても、こっから先は行き止まり。


俺に用があったんだよな??


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