恋愛モノ短編集
とにかく、私は今、高校生最後のフィギュアスケート大会を目の前にしている。


さっきからお父さんは、私の後ろに立って肩もみをしてくる。


私の友達も、大勢でスケートリンクに駆けつけてくれた。


今は他の人が氷上で演技を披露しているけど、あと2、3人ほどで私の出番になってしまう。


その後2、3人、というような時間なのに、彼はまだ来てくれない。


大体、私のアシスタントをしてるアイツが遅刻なんて、考えられない。


この3年間、お父さんの厳しい練習に耐えてこれたのも、ほとんどアイツのお陰なのに。


色々頭の中を駆け巡ったが、そのどれもが緊張に変わり、額に汗を滲ませる。


「由美子、頑張りなさい。お前ならできる。」


振り返って見ると、お父さんの方が汗だくだった。


固っ苦しい声の声援を聞くと、緊張感がほんの少し上がってしまった気がする。
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