恋愛モノ短編集
「私は、人間を愛することを禁じられている。」

女性は、静かに始めた。

波の音が、しない。

「そして今日は、“最後の日”だ。」

少年は振り向き、顔を上げた。

最早両目から流れ落ちる涙を拭きもせず、一心に彼女の言葉に耳を傾けている。

「私は、貴様を、愛していない。」

顔は変わらず、無表情のままだ。

風が、長い茶髪を揺らした。
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