恋愛モノ短編集
「そう、有り得ないんだ。」

優しく言って、彼女は微笑んだ。

世界中で、一番美しい笑顔だった。

「私は貴様を―――」

微笑んだまま、可憐な顔が少年に近付いていく。

そして、口と口とが重なった。

後に残ったもの、それは、煩わしい波の音と、寒気のする風だけだった。


別れ・終
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