恋愛モノ短編集
つい先程まで私が座り込んでいた場所には、あの小難しい本が置いてある。


私はそれを一度顔だけで見て、前を向いた。


もう一度そうして、最後に顔を後ろに向けようとした時、私は三度同じ事をする意味を考えた。


三度も物事を繰り返さなくても、一度で済むことはいくらでもあるはずだと思った。


でも、そうなると逆に、三度繰り返すことによって意味があることもあるのではないか、とも思った。


例えば、愛を証拠付けるとか。


だから、私は立ち止まった。


彼の目を見て、彼も私の目を見て、どちらからともなく、今日三回目の出来事だった。


「・・・ご馳走してください。」


私は続きを言って、彼に抱き着いた。


彼も私を抱きしめてくれた気がする。


そして、今日一番驚くことが起きた。


何を考える間もなく、彼は私の唇を再度塞ぐ。


四度目はどうなんだろう。


そう考えることを途中でやめた私は、他のことを考えることにした。
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