俺と… どうしたいの?
「 悪いけど… 」
そう断った俺の横を通りすぎて行った陽加の後を夕姫が俺を見ないまま行こうとした。
「 おい、待て夕姫 」
手首を掴んで夕姫を止めた。
でも夕姫は俺を見ない… それがさらにイラついた。
「 何で俺を見ない?」
「 だって… 先輩が告白されるの見てもしかたないから 」
「 その顔は?泣きそうだぞ 」
「 泣いてない… 」
あの日、夕姫が熱を出した保健室で 俺は言った。勘違いするなと…
でも、あれは俺のミスかもしれない。
「 先輩、私は… 私がもし、告白したらどうする?」
え… 夕姫が俺に? へぇ…
「 じゃあ、してみろよ 」
みるみる真っ赤になる夕姫。
可愛いと思った。
いつも必ず俺の見えるところにいた夕姫、俺を見ていた夕姫。
何で意識してなかったか不思議なくらいだ。
俺は夕姫が告白するのを待った。
でも、なかなか言わない。
「 告白すんだろ?早く言え 」
「 い、言いますっ」
でも言わない。
そんなに照れてどうするんだ?
「 じゃあ目閉じててやるから言え 」
俺が見てるから言えないんだと思い、目を閉じてやることにした。
これなら言えるだろうと。
だが、一向に夕姫の声が聞こえない。
代わりに突然 俺に柔らかい衝撃がきた。
バチっと目を開けると夕姫が視界いっぱいに埋まっていた。
俺の唇には夕姫の唇が優しく重なっていたんだ。