俺と… どうしたいの?

夕姫が、俺にキスして…

離れた唇には夕姫をまだ感じる。

「 夕姫、キスは言葉じゃないだろ?ちゃんと言え 」

「 えっ!?で、でも… 今ので精一杯だもん… ダメ?」

「 ダメ 」

キスはキスでいい。後でちゃんとたっぷり気の済むまでしてやる、ってか俺の気が済むまでキスするさ。

でも、肝心な事を飛ばされては困る。

俺は聞きたい。

夕姫の声で、好きだと。

俺が好きだと聞きたいんだ。

「 夕姫、キス出来て言葉で言えないなんて幼稚園児でもしねぇ 」

ぷうっと夕姫の拗ねた頬が膨らみ、それがまた意地悪心をくすぐる。

可愛いじゃねぇの、おもしれぇ。

「 あっ」

おもむろに言ってみると、案の定、夕姫も あ?っと真似て口を開く。

俺の狙いはコレだ。

口を開けさせること。簡単に開けるからいい。

あ、と開いた夕姫の口を唇ごと塞いだ。
舌まで入れてみた。

ちょい大人バージョンキスだ。

濃厚が好きだ。

だから夕姫が俺に嫌でも言って来るように仕向けてみた。

仕方ないんだ、夕姫が可愛いから。

苛めてやりたくなる。

離す唇の後に、はぁっとと潤む目に甘い息を漏らす夕姫が、小さく言った。

「 ……好き 」

なに?

「 聞こえない 」

「 好きっ、大好き!」

言えるじゃん。

俺の夕姫。

「 知ってる、俺もお前好きだから 」
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