闇ノ花




「分かりました。では、隅から隅まで綺麗にします。だから土方さん、部屋から出てくれませんか?」


「……あ?」





う、睨まれた。


怖いよ。


だけど、負けない。





「だから、土方さんが出て行かないと綺麗に出来ないので。稽古でも巡察でもやって適当に過ごして下さい。夕刻までには終わらせます」


「……」


「どうしても出たくないのなら結構です。掃除はしません」





一向に出ようとする気配がないから、私は再び踵を返した。


掃除はなるべく、誰もいない場所でやりたいというのが一つの理由。


あともう一つは、土方さんと二人で長くここにいるのは流石に嫌だったからだ。




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