闇ノ花
とにかく聞いてみよう。
「あ、あの」
そう声をかけると、その人は穏やかな表情をした。
「何ですか?小松さん」
あ、私の名前覚えていてくれた。
何だか申し訳ないな……私は覚えていないから。
「あの……。ほうきと、あと雑巾ってどこにありますか」
「ほうきと雑巾ですか。ついて来て下さい」
そう言いながら、すたすたと歩いていくその人。
うーん……。
誰だっけ……。
必死で、頭の中にある引き出しを引っ張って思い出そうとする。
……あ、そうだ。
やっと思い出せた。
多分、山南さんだ。