闇ノ花
山南さんは、一つの小さな扉を開いて、そこからほうきと雑巾、そして桶を取ってくれた。
「ありがとうございます」
「いえいえ。水は、そこにある井戸から汲んで下さいね」
「はい、分かりました」
またお礼を言って会釈をすると、山南さんの姿はどんどん小さくなっていった。
丁寧ですごく礼儀正しい。
山崎や土方さんと正反対だ。
山崎は無口。
土方さんはぶっきらぼう……もっと悪く言えば怖い。
二人を想像して、思わず口元が綻ぶ。