闇ノ花




「これが、小松流……」





山崎が小さく呟いた声が、私の耳に入った。




──小松流。




それは、平成時代よりもずっとずっと前から続き、平成に入って消滅した流派。


消滅したけれど……私が、復活させつつある。


悔しいんだ。


お爺ちゃんもお母さんも……その前を生きた、私達の先祖達も大事にしていた小松流が、消えてしまったのが。


山崎も知っているという事は、江戸時代にもあったんだ。


何だか……嬉しかった。


少し笑顔になりながら山崎の方を見る。


すると、山崎は何故か驚いたような表情をした。


だけど言葉にせず、また真顔に戻る。




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