闇ノ花




私の理由はただそれだけ。





「もう、これ以上は聞かないで」





そう言い捨て、山崎から視線を逸らす。


言えない。


言う必要がない。


山崎には……関係ない。





「分かった」





山崎はそう一言言うと、一瞬だけ何だか辛そうな表情をした。


そして、私に背を向けて筆を走らせる。


少し気になったけど、聞かなかった。


私は布団に潜り込んで、またいつものように、真夜中になるのを待った──。



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