闇ノ花




はぁ……?




私は、ぽかーんとその表札と建物を交互に見つめた。


もしかして、刀が光って気を失って、変な夢を見ているのかも。


それとも……。


私は、そっと奴の顔を見上げた。





「あの……」


「ようやく口を開いたようだな」





うわ、自分馬鹿!


自分がしでかした事が悔しくて、急いで勢いよく首を横に振る。


危ない……もう、絶対に声を出さない。


奴は呆れたように目を細めた。





「意地を張っていられるのも今のうちだ。入れ」





そんな風に奴は言うと、私の腕を引っ張って、屯所の門を越えた。




< 24 / 522 >

この作品をシェア

pagetop