闇ノ花
はぁ……?
私は、ぽかーんとその表札と建物を交互に見つめた。
もしかして、刀が光って気を失って、変な夢を見ているのかも。
それとも……。
私は、そっと奴の顔を見上げた。
「あの……」
「ようやく口を開いたようだな」
うわ、自分馬鹿!
自分がしでかした事が悔しくて、急いで勢いよく首を横に振る。
危ない……もう、絶対に声を出さない。
奴は呆れたように目を細めた。
「意地を張っていられるのも今のうちだ。入れ」
そんな風に奴は言うと、私の腕を引っ張って、屯所の門を越えた。