闇ノ花
ていうか、この縄を解きたい……。
後ろに縛られた手を、くいくいっと捻ってみる。
奴は短時間で私の腕を縛っていた。
だから、運が良ければ捻るだけで解ける簡単な縛り方になっているはず。
解けるように祈りながら、何度か軽く捻った。
……あ、簡単に解けた。
縄が地面に落ち、手首も軽くなる。
奴も少し気を抜いていたみたいだ。
何だか、奴に少しだけ勝った気がして嬉しくなった。
手が自由になったが、赤くなった自分の手首を見て唇を噛む。