闇ノ花


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「──いたたたっ!」


「我慢しろ」





屯所に戻り、私は部屋に入ると、医学も心得ているらしい山崎に消毒されていた。


背中の部分だけが見えるように着物を捲り……かなり恥ずかしい格好にはなっているけど、そんな事よりも今は痛すぎる。


それでも山崎は、私の傷を手当てしてくれた。


水で濡らした布で拭いたり、包帯を巻いたり……。


包帯がずれないように、サラシでその上からきつく巻いた。


苦痛を耐え抜き、ほっと息をつく。


だけど……やっぱり、悔しい。


……私ってこんなに泣く人だったっけ?


何でこんな、二日も続けて、涙が出てくるの?




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