闇ノ花




「でっ、ですよね!近藤さんも分かってくれましたか!」


「あぁ……。総司、山南さんを連れて帰ってきてくれないか」


「はい!分かりました!」





すぐにそう指示を出した近藤さん。


沖田さんは、ぱっと立ち上がる。


島原……花魁がたくさんいる場所。


そこまで遠くはないはずだ。





「総司!島原にいなかったら戻ってこい!それから馬で追い掛け、大津で引き返すんだ!」


「はい!」





沖田さんが部屋から出るなり、静寂が漂う。


──沖田さんも近藤さんも、ただ、今の状況を信じたくなかっただけだった。


島原を探すのは時間稼ぎ。


それに、大津まではかなり時間がかかる。





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