闇ノ花


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「新撰組の……お方どすか?」





山南さんの切腹まで、あと時間は僅かだった。


屯所の門の前を歩いていると、すごく綺麗な女の人が私を見つめていた。





「はい、そうですが……」





そう言うと、女の人は丁寧に会釈をした。


一つ一つの動作が綺麗で、女の私も見惚れてしまう。





「わて、明里(あけさと)といいます。山南はんに会わせとくれやす」


「……え、ですが…」


「頼んますっ、もう時間……ないやろ?」





この人は、多分山南さんの恋人だ。


これから起こる事を、知っているのだろうか?



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