闇ノ花
「山南はん、忙しくて最近うちになかなか会えなかったやろ?せやから、文とこの簪をくれて……」
「……」
「文の最後に、“この簪を付けた明里を早く見てみたい”なんて書いてあったなぁ。うち、そん時決めたんよ」
「何をですか?」
山南さんが聞くと、明里さんは輝くような笑顔を見せた。
「簪を付けたうちを、一番に山南はんに見てもらおう、って」
「そうだったんですか……」
山南さんも微笑んで、明里さんの頭を優しく撫でた。
照れくさそうにはにかむ明里さん。
「おおきにな、山南はん」
「……似合ってます」
山南さんは、暫くの間明里さんの頭を撫で続けた。