闇ノ花
「せやけど……山南はん、約束してくれはった。また、会おう……って」
「……」
「それはきっと、来世で逢おうってことやろ?わて、山南はんを信じるって決めたんや。泣いてばかりいても駄目やから……もう、前を向こう思うて……」
「明里さん……」
どこまで前向きな人なんだろう。
明里さんの目からは涙がもう消えていた。
それから、赤く染まった夕日を見上げる。
「おおきにな。これからも、お気張りやす」
明里さんは丁寧に頭を下げると、踵を返して歩いて行った。
──それから、山南さんの人生が終焉を迎えたかのように夕陽は沈んでいき、代わりに闇が漂い始めた。