闇ノ花
ほんの少しだけ緊張しているのは、山崎も同じみたいだった。
お互い沈黙を保ちながら、歩みを進める。
……短い時間だったけど、本当に今日は楽しかった。
山崎に感謝しないとな。
そんな事を考えていると、あっという間に屯所の門の前に立っていた。
そこを通り過ぎ、すたすたと中に入っていく山崎の着物の袖を、何故かは分からないけど掴んでしまった。
「……小松?どうした?」
「……」
驚いたような顔で、振り返る山崎。
あれ?
私、何でここで引き止めたんだろう?