闇ノ花



「芳乃……⁉」


「いいからっ、早く……!」


「……」





そう訴えても、藤堂さんは私の所には来なかった。





「芳乃っ!平助を頼んだ!」





遠くから、原田さんの叫び声が聞こえてくる。


私はそっちを見ずに、小さく頷いた。


……だけど、何で来ないの?


早くしないと、斬られる……!





「ごめん、芳乃……僕は……」





藤堂さんはそう言うと、刀を振り上げて新撰組に向かって行った──。



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