闇ノ花
「これは私が決めた事だから」
「芳乃!許さぬと言っておるじゃろう!
“忍になりたい”と馬鹿げた事を二度と言うでないぞ!でないとこれからは外出禁止じゃ!」
「──うるさい!お爺ちゃんは、誰がお父さんとお母さんを殺したか分かってるくせに、私に教えてくれない……お爺ちゃんなんか大嫌い!」
私はそんな風に叫ぶと、お爺ちゃんを取り残して部屋から出た。
ピシャリと襖を閉じると、どかどかと足音を立てながら廊下を歩く。
「これ以上、女子の手を血で染まらせたくないのじゃ……。芳乃、お前はどうしても分かってくれぬか……」
そんなお爺ちゃんの声は、私の耳に入らなかった。