後輩レンアイ。
なんで怒らないんだよ。
俺は、見て見ぬ振りをしたんだぞ?

疑問が疑問を呼ぶ。
むしゃくしゃした俺は、中里清華を追いかけることにした。

いや、なんで俺こんな必死なんだよ。
別に、中里清華なんかににかまう必要なんて無いじゃん。
俺、どうしちゃったわけ?

バンッ

屋上の扉を、勢いよく開けた。
するとそこには、フェンスにもたれかかって校庭を見下ろす中里清華がいた。

「なにしにきたの?」
どうやら俺だと分かったようで、中里清華は俺に背を向けながら言った。
「その…さっきは、すみません。」
「なにが?」

中里清華が今どんな顔をしているのか、俺には分からない。
「…イジメ。庇えなくて。」
「庇えない、じゃないでしょ?
アンタは庇わなかったの。都合のいいようにとらえないでくれる?」
…痛いところをつかれた。

「別に、気にしてない。
まぁ、いつものことだしね。」
さりげなくいわれたその言葉。
“いつものことだしね”
もしかして、3年間ずっと?

「あの人達も、よくもまぁ飽きずに続けるよね。」
尊敬するわ、と言って、中里清華は嫌みっぽく笑った。
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