後輩レンアイ。
「3年間、ずっとイジメられてたんですか。」
「まぁね。」
「辛くなったりとか…」
「んー、あんまそういうのない。」
虐められてんのに辛くないとか、タフなヤツだな。

「…ソレを聞くためにここにきたなら帰ってくれる?」
「どうして?」
「…イヤだから。」
「理由になってないですけど。」
「…。」

中里清華は、黙ってしまった。
代わりに、カシャン、とフェンスを握りしめる音が聞こえる。

「ホントは、虐められて辛かったんじゃないんですか?」
虐められてるヤツは、大抵強がって辛くないとか言ったりするからな。

「…強がってると思ってるんでしょ。」
思っていることを当てられた。
中里清華はくるりとこちらを向く。
その瞳には、失望の色が浮かんでいて。

「違うんですか?」
「ほんとに、なんにも思ってない。
ただ、バカだと思うだけ。」
バカ?
「不思議?どこが馬鹿なのか。」
「…はい。」
「嫌いならほっとけばいいのに、いちいち絡んでくるところ。」
あぁ納得。

「あたしは弟や妹の笑顔が見れれば幸せだし、そのためならなんだってする。
あの子達は、あたしの…たった一つの、希望なんだから。」
最後のほうは、意味がよく分からなかった。
なんだか、分かってはいけない気がしたんだ。
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