後輩レンアイ。
「俺…」
「志堂君だっけ?
アンタは正しいと思うよ。周囲の強い方に従って、あらがう事なく生きていく。
社会で成功するタイプだね。でも結局は…誰だって、自分が一番可愛いの。」

そう言った中里清華は、なんだか儚くて。
俺は不覚にも、綺麗だと思ってしまったんだ。

「…くしゅ」
「…フッ。」
あ、やべ。笑っちまった。
「なに、笑ってんの。」
「いや、先輩でも人間らしいところあんだなーと思って。」
「失礼な。あたしは元から人間だ。」
あはは、そうでした、なんて言いながら、俺は中里清華に近付く。

「これ、良ければドーゾ。」
そう言って、タオルを渡した。
「…なんだ、アンタ普通に笑えるんだ。」

中里清華は、俺からタオルを受け取ったときそんなことを呟いた。

「どういう、ことですか?」
「アンタ、いつも仏頂面だし、たまに笑ってるけど明らかにひきつってたし。」
…中里清華は案外目ざとかった。
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