後輩レンアイ。
「まぁ、確かに久々に笑ったかもしんないですね。」
「お金持ちも大変だね。」
「大変、で片づけないでください。」
「だって、あたしが知るわけないし。」
「親父からの期待や圧力、プレッシャー。それに、周囲からの期待だって、応えなきゃいけない。弱みを見せたら、即終了なんですから。」

「そりゃ、ストレスも溜まるわ。」
「あぁもう俺家出してぇ…」
「すれば?」
「それが無理だから言ってん…」

「なんで無理なの?」

なんでって…。
俺兄弟いないし。
志堂グループ潰れるし。

俺、1人で生きていけないし。

「家出したいけどできないのは、今まで親なんかに依存してたからでしょ?
社会を知らずに育ったからでしょ?
それに、会社のことを考えるように親がアンタを育てたんだから、普通会社のこと考えて家出なんてできないでしょうし。」

なんだ、いくらなんでも
「心読み過ぎって?」
また、読まれた。
「…伊達に人を観察してるんじゃないんだから。」
は、観察?
「観察って?」

そう聞くと、中里清華は黙った。
「…観察ってなんですか?」
「関係ない。これ以上アンタはあたしに踏み込んでこない。…OK?」

…返事を、強要されている気がする。

「…OK。」
しかたなく、俺は言った。
中里清華は、
「あたしに関わるときは、性欲処理くらいにしてよね。」
と言って屋上を出て行った。
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