後輩レンアイ。
中里清華と志堂龍太
───清華side
帰り道。
「ニャー…」
む。
かすかに猫の鳴き声。
茂みを探すと、そこには真っ白な子猫がいた。
あたしとは真逆の、真っ白な猫。
手を差し出すと、すり寄ってくる。
「いーなー…アンタがうらやましいよ。」
猫って、いいな。
猫は猫で大変だ、とか言うけど、人間の方がもっとめんどくさい。
猫には勉強がないでしょ?
猫にはルールがないでしょ?
「どうせだったら猫に生まれたかった。」
そんな意味もないことを呟いて、あたしはその猫を抱き上げた。
「ニャー…」
猫は、小さく鳴いて、あたしのうでにすっぽりと収まってしまう。
どうしてかな。
あたし、この猫と真逆なのに。
家で飼いたい、なんて思ってる。
この猫は白。
あたしは黒。
あぁでも、棄てられたのはあたし達と一緒なのか。
いっそこのまま、見ぬ振りをしてやろうか。
あんたが拾われてあたしが苦労をするなら。
…なーんて、アホか。
目の前の命、見捨てるわけにはいかない。
だって、生きてんだもん。
金銭的にも余裕だし。
この猫は、拾うことにした。