後輩レンアイ。

顔は長い髪で隠れて見えない。
だからどんな表情をしているのかはわからない。

「先輩?」

「………。」

小刻みにふるえている先輩をなだめようと、そっと手を伸ばし先輩に触れた瞬間。

ビクッ

「………ッ!」

先輩はビクリと大きく震えた後、俺から離れた。

…俺、先輩を助けた側の人間なんですけど。
なんでそんなに、ビクビクされないといけないわけ?

収まりかけていた苛立ちが、再発してしまった。
なぜ再発したのかはわからない。

ただ、目の前のこの人に怯えられていることが、無性に腹が立って仕方ない。
< 62 / 94 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop