後輩レンアイ。
───清華side
なにがなんだかわからない。
なぜアンタがここにいるのか。
どうして助けたのか。
聞きたいことは、山ほどあったのに。
ナイフを向けられた恐怖が、あたしの口を動かしてくれない。
あたし、こんなに弱かったの?
こんな状態で、みんなを守るとかほざいてたの?
守るのはどっちよ。
守ろうとして、いつも守られてたのはあたしじゃないか。
「あたしは、強い。
強いんだから…あんなのでビビってどうすんのよ。
だれがみんなを守る?
あたししかいないでしょう?
もっと、強くならなきゃ……」
もっと。
もっと強く。
そして陸や真奈、宇巳、羽陏、音葉を守るんだ。
世間から。
偏見から。
事実から。
両親がいない、だから幸せになれない。
そんな考えを、覆すために。
そんな同情を、はねのけるために。
あたしが、みんなを守らなきゃ。
ボロボロになったっていい。
死んだっていい。
むしろその方が好都合かもしれない。
あたしが死んだら、すべての事実を誰にも知られることなく墓場まで持っていけるんだから。