後輩レンアイ。
「他人に殺意を向けられたの、初めてなの。
そういうアンタは、あるわけ?」
さっき、ナイフを向けられているあたしがいても叫ばなかったし、慣れてるのかな。
「当たり前でしょう?
あの学園に通っている者は全員、こんなの慣れっこです。
小さいころから命狙われて、他人の犠牲を踏み台にのし上がったようなもんですから。
だから、命が軽く見える。
簡単にひねりつぶせるものだ、と。
だからこそ尊いのに。大切にしないといけないのに。
俺達“勝ち組”は、なにも思わずに人を一人消せるんです。」
…それはあたしに、必ずしも“勝ち組”が幸せだとは限らない、と言っているのだろうか。
そんなの、とっくの昔から知ってるけど。
だから、アンタに教えてもらわなくても大丈夫。
「…ちゃんと、知ってるから。
そう教育したのは、アンタ達の親。
会社をより大きくするという自分の欲望のためだけに、子供には《要らない人間は切り捨てろ》と教えるの。
無情に人を消せるのは、その人のせいじゃない。
…金持ちは、そういう理由があるもの。
アンタ達が悪い訳じゃ、ないわ。」
アンタ達はね。