後輩レンアイ。
「…アンタがそんなに強くないって言うなら、あたしが聞いてあげる。」
「…え?」
「不満?」
「いや…」
志堂龍太は困惑した顔を見せた。
当たり前だ、あたし自身も酷く動揺している。
でも、ここで彼が話せば。
“弱いところをつついて慰めればいい”
彼を落とすワンステップが踏み出せる。
そして踏み出したからには、もう戻れない。
どのみちあたしは家族が大事。これで問題ないじゃないか。
これで────…
「俺、本妻の子じゃないんです。
親父がキャバ嬢に産ませた、隠し子。
産ませたっつーか、キャバ嬢が勝手に産んだみたいで。
本妻が亡くなると、5歳の俺を理由に無理矢理志堂家に転がり込んだ。
そして親父と結婚し、親父が死んで遺産が入るのを待っていたが、親父がそれに気付き離婚。
俺は親父について行くことに決めたけど、俺の周りに血のつながった家族はいない。
俺が学ぶのは帝王学ばかり。
血どころか、心のつながった家族さえいなかった。
家族でさえも敵。
俺は独りで戦わなければいけなかった。
常に誰かの言葉の裏を勘ぐり、警戒心を働かさなければいけなかった。
コレがどんなに疲れるか、先輩、知ってます?」