後輩レンアイ。


…とても、よく分かってしまう。
誰かの表情を伺い、弱さを見せないように人の言動の裏を見る。

ずっと続けてるあたしだから、わかる。

それでも、あたしには家族がいた。
だから頑張ってこれた。

家族のためだから、疲れても頑張ることができた。

志堂龍太は、理由もなく頑張らなければいけない。
理由がなければ人間は動けないのに、強引に動かそうとしたらストレスがたまる。

…悲しい過去ね。

「今でもアンタは…アナタは、独りなの?
家族がいないの?」

「戸籍上の家族ならいます。
でも本当の家族は誰1人いない。」

家族がいないのは、とても辛い。
もしあたしの家族がいなくなってしまったら、それこそあたしはあたしでなくなってしまうと思う。

でも、ここで『じゃあ、あたし達を家族だと思いなさい』なんて事、あたしには言えない。

そこまで人間、できてない。


「あたし───…」


“弱いところをつついて慰めればいい”

…自分の感情で動いてはダメだ。
そんなんじゃ家族を守る事なんてできない。

「…っそ、それじゃあたし達を家族だと思えばいいじゃない。

真奈も陸も、宇巳も羽陏も音葉も、アナタの家族。

勿論、あたしも。」

…声、震えてないよね。
家族になろう、なんて、本当はあたしが一番口にしちゃいけないことなのに。

家族を壊したあたしが、家族になろうなんて、許されないのに。
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